車の廃オイルを活用した資源循環型農業に取り組む
【GNホールディングス㈱(群馬日産自動車㈱)における事例】
GNホールディングス㈱(天野 慎太郎 代表取締役社長)2022年12月から、「持続的な資源循環型農業」を目指した農業法人 ㈱mino-lio(ミノリオ)(天野 洋一 代表取締役社長=写真右)を運営している。 ㈱mino-lioでは、グループ企業による車のオイル交換によって回収された廃オイルから、鉄粉を取り除くための「ろ過」による再生処理を行い、「再生重油」に転換。この再生重油を「いちご」を栽培するビニールハウスの暖房燃料に活用し、非化石エネルギー利用による資源循環型農業を実現しています。
また、このいちご農園では、廃プラスチックから取り出した「廃プラ油化燃料」を、いちごの光合成を促すためのCO₂発生装置の燃料として活用しているほか、冬場のいちごの苗の土壌を温めるための温水を作り出す燃料としても活用している。
さらに、農園内の電力は、「再エネ由来電力」とすることで、100%の資源循環型農業に取り組んでいる。こうした取組みを実践する同農園では、「ぐるりいちご農園」と名付けている。
同農園で収穫されるいちごは「やよいひめ」と「よつぼし」の2種類。最新設備による徹底した温度管理など手間暇かけたこだわりの栽培により、それぞれ色や大きさ、甘味に独特の特長があり、環境に優しい資源循環型農業で栽培されているというストーリーも相まって、市場で高い評価を得ている。
同社では、再生重油を県内の農家に提供していくことで資源循環型農業のブランド化による地域支援を目指し、持続可能な未来の実現に貢献していく。
◆㈱mino-lio: https://mino-lio.co.jp/
◆ぐるりいちご農園:https://www.gururiichigo.net/
従業員とお客様が一体となってエコドライブ活動に取り組む
【沖縄トヨタ自動車における事例】
沖縄トヨタ自動車㈱(野原 朝昌 代表取締役社長)(写真右)は、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団が主催する「2024年度エコドライブ活動コンクール」において、同社のエコドライブの取組「燃費王 ~FUN TO ECO DRAIVE~」が高く評価され、審査委員長特別賞に選ばれた(2024年11月の「2024年度エコドライブシンポジウム」において表彰)。
同社では、クルマの楽しさや魅力を伝えるだけでなく、お客様にエコドライブの重要性を伝え、交通死亡事故ゼロと沖縄の美しい自然環境を次世代に残していくための地域貢献活動に取り組んでいる。
2011年から行っているこの活動は、2022年4月からは、沖縄トヨタ自動車㈱のほか、沖縄トヨペット㈱、トヨタカローラ沖縄㈱、ネッツトヨタ沖縄㈱に拡大し、同社独自の燃費管理サイト「燃費王」を活用して取り組んでいる。このサイトに、各社員がアクセスし自身の燃費を「見える化」することで、エコドライブへの士気向上のほか、安全運転意識の向上やCO₂削減への貢献意識の向上に繋げている。
また、「燃費王」サイトを活用した「お客様向けエコドライブ会員制度」は誰でも無料で参加が可能。燃費の入力などにより付与されたポイントを同社へのサービス入庫時に還元できるほか、指定団体への寄付などに活用できる。このように同社では、「自然環境保全活動」、「地域の交通課題解決」、「交通事故防止への支援活動」の3つの活動に寄与している。
さらに、グループ全体での活動として、毎年「燃費王決定戦」を実施。これは、お客様とエコドライブを楽しみながら安全運転や環境問題に対する意識向上を図ることを目的に開催しているもの。
同社では、こうしたノウハウや意義をお客様に伝え、全国に活動の輪を広げていくことで持続可能な未来を築いていく。
◆沖縄トヨタ自動車㈱ 「燃費王」: https://toyota.recoo.jp/t-okinawa/
◆沖縄トヨタ自動車㈱ 「燃費王決定戦」: https://www.okinawa-toyota.co.jp/event/fuel_economy_king
エコアクション21認証取得への対応
【南九州マツダにおける事例】
㈱南九州マツダは、2012年3月にエコアクション21(以下、EA21)の認証を取得し、以降積極的に環境経営に取り組んでいる。同社は、鹿児島県下に8事業所、熊本県下に8事業所、宮崎県下に10事業所の合計26事業所を構える広域ディーラーであり、全事業所がEA21の対象となっている。
同社は、会社トップである松浦 実 代表取締役社長自らが、「環境経営方針」を内外、特にお客様にも広く宣言することで、従業員にも環境への高い意識を持つことを促し、ベクトルを同じくして行動していくこととしている。
環境マネジメントシステム(ISO14001)への対応
【岐阜トヨペットにおける事例】
岐阜トヨペット㈱は、2002年3月に本部部門、及び長良店、大垣西店の2店舗の計3か所において、県下で業界初となるISO14001認証を取得。翌年以降、順次認証取得店舗を拡大し、2022年時点で全19店舗中16店舗で認証を取得している。
未取得の店舗も含め全店舗で環境マネジメントシステムに取り組んでおり、地球環境対策、廃棄物対策、省エネ対策(CO₂の削減等)に取り組んでいる。その他、田畑を活用した食育事業や燃料電池自動車や電気自動車を用いた出張授業などを開催し、持続可能な地域社会の構築を目指している。
水素エネルギー社会の実現を目指した活動
【トヨタモビリティ富山における事例】
2016年、トヨタモビリティ富山株式会社と北酸株式会社は、今後のエネルギー源として水素が着目され始めたことやトヨタからFCV(ミライ)が発売されたことを機に、両社の主導により一般社団法人 富山水素エネルギー促進協議会を立ち上げた。2018年には一般社団法人化し、産学官金で富山の「水素エネルギー社会」実現を目指して連携していくこととなった。現在71会員が参画。
2020年に「水素ステーションとやま」(富山市上冨居)を開設(経産省の補助金を活用)し運営。年1回の法定点検時には2週間の設備休止が必要なことから、バックアップ機能も兼ねて、2021年には再生可能エネルギー(太陽光)からの電力を用いて製造された水素を供給する「再エネ水素ステーション(H₂OneST)」(富山市栗山)を開設した(環境省補助金活用)。
水素の利活用に関する啓発・広報のため、FCVの展示や企業向けの1日無料レンタル、FCバスやFCフォークリフトの展示、子供向けの燃料電池の学習教室、学校単位での水素ステーション見学受け入れなど様々なイベントを実施。
温室効果ガス吸収源及び安定した生態系基盤となる森林の整備や植林活動
カーボンニュートラルに向けては、ライフサイクルアセスメント(LCA)での温室効果ガスの削減が必要となり、廃棄段階でも対応が求められます。サーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からも、資源の有効活用のためにリサイクルや再資源化の重要性が高まっています。
ディーラーは、これまでも各地域社会に対し、社会貢献活動を実施してきた実績があります。
地域内連携による自動車部品などのリサイクル・再資源化
植林、植樹・育樹、森林整備、苗木贈呈などの活動は、温室効果ガスの吸収源を増やす唯一の手段であると共に、地域の生態系基盤を強化し、再生可能エネルギーの創出にもつながり、持続可能な地域社会形成に寄与します。
日本には放置され温室効果ガス吸収力を失った高齢の人工林が多く、それらを木材として住宅などに活用。副産物や残渣を木質バイオマスエネルギーとして活用して多段階で経済価値を高めながら、再造林・植林、間伐など森林の若返りを進め、持続可能な仕組にしていくことが重要です。
林業人口が圧倒的に不足する中においては、住民参画による協力が求められており、顧客世帯との強いつながりを持つディーラーは、住民を巻き込んだ取組の推進に貢献しています。
【自販連山形県支部における事例】
2005年に山形県支部加盟全販社が共同出資し、株式会社山形自動車販売店リサイクルセンターを設立し、解体車のリサイクルを全て一元化しています。
同リサイクルセンターは、店舗リニューアルを機に2021年3月に東根市に「自然エネルギー館」をオープン。太陽光の電力で館内の電力を全て賄い、EVに蓄電する仕組の導入をはじめ、自然エネルギーの活用を啓蒙できる施設として、地元の学生の研修も積極的に受け入れています。
床マットには処理が難しい廃タイヤを再資源化して使用しており、リサイクル部品活用による温室効果ガス削減効果を数字で表示したり、素材再利用によるエコ商品を提案。また、自然エネルギーのみで育てる熱帯植物園も併設しています。